カタルーニャへの進出とコミットメントを日本経済新聞に語る花王ケミカルグループ

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01 Dec 2023

日本企業の花王は1970年にカタルーニャ(スペイン)に進出し、オレッサ工場の香料生産能力を倍増させるなど、この地域への投資を続けてきました。

以下の文章は、東京に本社を置き、日本の経済、産業、市場に関する報道で有名な世界最大の金融専門紙、日本経済新聞の記事の一部を転載したものです。この記事では、1970年にカタルーニャに進出した花王ケミカルヨーロッパのケースを取り上げ、長年にわたって投資を続けた理由を検証しています。

日経は、スペイン、ドイツ、メキシコ、ブラジルの製造、研究開発、販売を統括する花王ケミカルヨーロッパの浜田大輔社長に、カタルーニャの魅力についてインタビューしました。

バルセロナはクオリティー・オブ・ライフが他のグローバル都市に比べて圧倒的によいため、地元だけでなく世界中から優秀な人材が集められるのは大きな魅力です。

花王ケミカルヨーロッパ社長 浜田 大輔氏

半世紀以上、投資を継続

花王グループのケミカル分野でのカタルーニャ進出の歴史を教えてください。

浜田70年にカタルーニャのシノルギャン社に出資後、シノール花王を設立したのが始まりです。77年にモーリンス・イ・プッチャーナウ社を買収してモーリンズ花王を設立。この2社を合併して87年に花王コーポレーションSAU(以下 花王スペイン)を設立しました。99年にはドイツ花王化学を傘下に持つ花王ケミカルヨーロッパ(KCE)という現在の統括会社を設置し、2005年にメキシコのキミ花王を傘下に加え、12年に花王ブラジルを設立、17年にカタルーニャにあったチミグラフ社(現在の花王チミグラフ)を買収。現在はカタルーニャ2社、ドイツ、メキシコ、ブラジル各1社の合計5社を統括しています。

事業内容について教えてください。

浜田販売では欧州と中南米がKCEの売り上げの約75%を占め、北米、中東やアフリカにも販路を広げています。事業領域としては、オレオケミカル(油脂製品)、香粧品用活性剤、香料(合成と調合)、産業用活性剤、画像材料(トナーなど)、インク(フレキソインク/インクジェットインク)の6分野で幅広い製品を製造、研究開発、販売しています。当初は花王の強みである油脂原料から始まり、アルコールや3級アミンなどの誘導体事業、ポリマーサイエンスを活用した産業製品、香料と事業を拡大してきました。近年は、欧州市場における合成香料の将来需要の増加を見込んで、バルセロナ市街から約30kmのオレッサ工場の生産ラインを増設。生産能力を2倍に高めました。二酸化炭素(CO2)や廃水を削減する環境性能の高い設備であり、花王グループ全体のサステナビリティー(持続可能性)方針を反映しています。

投資を継続する4つの理由
カタルーニャを拠点に投資を継続してきた理由は何ですか。

浜田大きく4つあります。まず第1に文化と風土。2番目に戦略的な立地。3番目が人材で、4番目が環境への取り組みです。

文化と風土というのは、プロフェッショナルかつビジネスパーソンとしての考え方が根付いた土地だということです。日本、ドイツ、メキシコの精神を全て理解できる風土があります。スペインの中でもカタルーニャの人々はドイツ寄りの規律や勤勉さを持っており、同時にラテン系の楽観的で前向きな気質を併せ持っています。

立地面では、地中海沿岸でフランス国境の近くにあり、バルセロナとタラゴナという2主要港からも近く、ヨーロッパ、北アフリカ、南北アメリカ、アジアへのアクセスが非常にいい。当社にとってはタラゴナのケミカル産業クラスターが近いことも利点です。タラゴナの石油コンビナートは南欧最大で、ここから種々の原材料が調達可能であるため、輸送コストや環境対応でも優れたアドバンテージがあります。

3番目の人材ですが、カタルーニャ工科大学をはじめ非常にレベルの高い大学や研究機関がカタルーニャにはたくさんあり、学術的なクラスターが整っています。優秀な人材を獲得できることはもちろん、人材を通した研究機関とのコラボレーションにも適しています。バルセロナはクオリティー・オブ・ライフが他のグローバル都市に比べて圧倒的によいため、地元だけでなく世界中から優秀な人材が集められるのは大きな魅力です。

また、政府のサステナビリティーに対する支援策が当社のサステナビリティー方針と合致しているため、環境への取り組みがしやすいこともカタルーニャの魅力といえます。
この度、ENGIEスペインと花王スペインは、花王スペインのオレッサ工場内に、森林の持続可能な管理を保証する、認証された森林廃棄物からのバイオマスによる新しい熱利用プラントの建設、試運転、15年間の運転およびメンテナンスを行う契約を締結しました。この新しい設備により、当該工場の天然ガス消費量が95%削減され、カーボンフットプリントが削減されることになります。

逆境に強いメンタリティー
浜田社長は、カタルーニャ人の気質をどのように見ていますか。

浜田日本やドイツが求める均一性や勤勉性は、グローバルにはスタンダードではありません。例えば、ドイツ人はコミットメントを重視するので、イエスと言ったら必ず実行する代わりになかなかイエスとは言わない。一方、カタルーニャ人はイエスと言って、そこから現実的な着地点を探りながらことを進める。基本的にラテン系の明るさを持ちながら、勤勉性も併せ持っており、非常にそのバランスが取れています。日本、ドイツ、メキシコ、ブラジルとグローバルな仕事環境において、会社の中のダイバーシティー(多様性)は大きな強みであり、ヘッドクオーターをバルセロナに置いたことは正解だったと思います。

また、コロナ禍にあっても、まちの雰囲気がどこか明るい。天気も明るければ、人々の心も完全には暗くならない。規制が厳しくて外出できなかった時も、午後8時になったらみんなベランダに出て、医療従事者への感謝の意も込めて、拍手を始め、隣人と手を振りあいながら歌を歌うなど、何か楽しみを見つけてくる。逆境でも暗くならない強いメンタリティーを持つのがカタルーニャ人ではないでしょうか。

最後に、海外への直接投資を考えている日本企業向けにアドバイスをお願いします。

浜田バルセロナは日本人にとっては観光地のイメージが強いと思いますが、多様な産業クラスターと、多様な学術クラスターが充実しており、直接投資先として極めて有望です。名だたるグローバル企業がなぜここに拠点を設けているのかを調べてもらえば分かると思います。最近、バルセロナ市内は日本人より中国人や韓国人の方が多い気がしますが、中国や韓国にあって日本にないのが直行便です。直行便ができれば、日本とのビジネス客の往来が増え、ビジネス自体の活性化にもつながると思うので、早期実現を願っています。バルセロナはビジネス以外にアピールできるポイントが多過ぎるのかもしれませんが、産業についての認知度が上がり、さらに多くの日本企業が進出してくれればと期待しています。

記事全文を読むには、リンクをクリックして日本経済新聞に掲載された原文にアクセスしてください

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